「ノンアルコールの販売手記」

大阪で酒販店の店長をされている「ピノン」さんから,販売手記をいただきましたので掲載いたします.

ご注意 「ピノン」さんは,店長から他の部署に異動されたため,現在は下記の店の「ノンアルコールビール・コーナー」はなくなっています.(2004. 5)


『ノンアルコールの販売手記』

いち小売店の店長 ピノン

去年、浅野さんの御助力を賜り、当店にも”ノンアルコールビール・コーナー”を設置する事ができました。現在14種類を販売しており、少しずつですが、回転も早くなってきました。しかし、ノンアルコールに対して誤解されている方が多く、販売側として説明に四苦八苦しております。

【車の運転】

バービカンには「休肝日に。ドライブに。」との表記がありますが、アルコール度数の表記はありません*)。当店では、すべてアルコール度数を公開して販売・説明していますが、やはり「まったくアルコールがない」と思い込んでいる方が多くおられます。 理解してもらえない事も多々ありますが、疑問をもたれた方には、「(普段お酒を飲む人が)1本飲むには、まず大丈夫でしょうが、3,4本飲むとアウトです。」と説明しています。

【ビール味】

ノンアルコールビールはビール味の”炭酸飲料”です。しかし、「ビールと味が違うじゃないか!」と完全なビール味を求めてこられる方が多くおられます。「炭酸飲料です。」と答えると「だったらビールと名乗るな!」など、手厳しい声も届きます。

最近”ノンアルコール市場は拡大している”とメディアでは話題です。実際、喜んでもらえた事も多々あります。

  • 「ビールが飲めないので、ノンアルコールで慣らして、だんなの晩酌に付き合いたい。」(おばあさん)
  • 「病院へのお見舞いに持っていきたい」(ピノン:いいんだろうか?)
  • 「昼休憩で飲めるのがいい。」(サラリーマン)
  • 「カロリーオフって聞いたから、ちょっと飲んでみたい」(若い女性)
  • 「お店で出してます。」(料飲店さん)
  • 「医者に酒を止められたので、これでもないよりは良い」(おじいさん)

以前、「酒は人生の楽しみのひとつで、飲めないのは不幸だ。」という言葉を聞いたことがあります。大酒飲みの一方的な言葉とはいえ、たしかに”お酒を楽しむ”・”お酒でみんなと楽しむ”のは楽しい事です。

今日のノンアルコールの盛り上がりは「お酒のバリアフリー」だと私は思っています。お酒に強い弱いに関わらず、みんなで気兼ねなく同じ雰囲気、同じ(ような)味を楽しめる・・・。さらに飲酒運転による事故も減るし、ノンアルコールの種類も増える。誤解のないように、しっかり認知されれば、このノンアルコールブームは良い方向に進むのではないでしょうか。

(2003 1/10)

*) 2003年2月に入り,バービカンはリニューアルされ,アルコール度数がようやく表示されるようになりました.


ありがとうございました.