ドイツ,Rüdesheim am Rheinの脱アルコールワインです.1908年に減圧蒸留法の特許を取得している,大変歴史のある銘柄です.
[2003. 9. 19] 以前ここで,この銘柄を「世界最初のノンアルコールワイン」と紹介していました.以前のCarl Jung社のウェブサイトにはそう書いてあったのですが,しばらく閉鎖されていた後再開された現在のウェブサイトにはそういう記述がありません.したがって,このページでも「世界最初」かどうかには言及しないことにします.
Carl Jung社のサイトはこちらにあります(独語).また,アメリカでCarl Jungを販売しているDe-Alc社のCarl Jungのサイトには,Carl Jung製品についてのさまざまな情報があります.その中に,脱アルコールワイン開発の歴史を伝える"The Carl Jung Legend"(Carl Jungの伝説)という文章があります.Carl Jung社より翻訳・転載の許可をいただきましたので,下記に掲載します.
「Carl Jungの伝説」
CARL JUNG社は,1868年にワイン農家・醸造家のCarl Jungによって設立されました.彼の父である,1798年生まれのJohann Jungは,ライン川の船が"Binger Loch"(訳注:有名な古城のあるところだそうです)の急流を通り抜ける際の水先案内人でした.1823年にJohannは若くかなり裕福な女性と結婚し,まもなく,ライン川沿岸の斜面にあるRiesling種のワイン畑を,余暇の時間に育てるために買い始めました.
1841年生まれのCarl Jungは,1868年に両親のワイン畑を引き継いで事業を始める前に,樽作りをはじめワイン作りの全てを学んでいました.彼は1876年に結婚しましたが,彼の妻はその時代では数少ないビジネスウーマンと呼べる人物でした.Carl Jungがぶどうを育て,新酒の樽を作っている間,妻のMariaは,主に医師や法律家のような1年分のワインを一度に注文してくれるような客に,ドイツ中を旅して夫のワインを売り歩きました.
そのうちに,長年ワインを注文してくれていた客が心臓や腎臓,肝臓の病気のために医師にワインを禁止され,注文を得られなくなるということがたびたび起こりました.彼女は考えました−「もしワインの香りや味を保ったままアルコールだけを取り除く方法があるのなら,彼らにもアルコールの害なしにワインの味を楽しむ方法を提供できるのに.」
この,ワインからアルコールを除くというアイデアをもとに,経済学を学ぶ大学生だった息子のCarl Jung Jr.が研究を始めました.家にあった道具を使って実験するうちに,まもなく,脱アルコールワインの「煮えた味」をなくすためには,沸点を血液の温度よりも低い35℃以下にするために真空技術を使わなければならないことがわかりました.
彼は同時に,ワインの香り成分はアルコール以上に揮発しやすく,凝縮機(訳注:蒸発した気体を液体に戻す装置)では凝縮されずに通過してしまうことも発見しました.アルコールは常圧では約80℃で揮発しますが,香り成分は室温で揮発します.グラスに入ったワインから香りを感じることができるのは,常温で香り成分が揮発するからです.
この問題を解決するため,彼は揮発しやすい香り成分を特別の"aroma-column"で回収する装置を発明しました.脱アルコール化の後香り成分を回収する技術は全く新しいもので,ドイツで1908年に正式に特許が認められたのをはじめ,他にイギリス(No. 7732, 1908年7月9日),アメリカ(No. 1071 238, 1913年8月26日)を含む4カ国で特許を取得しています.
(以下略)
なお,日本で販売されているCarl Jung製品には,下のMerlot, Riesling, Sparklingの他にピーチフレーバーワイン「Carl Jung Peach Sparkling Wine」があります.これについては,「ちょっと変わったワイン」のコーナーのこのページに掲載しています.
[2003. 8. 4] スウェーデンのGöteborgで,Weisslack, Rotlack, Rosélackの3種を見つけました.なお,これらはスウェーデン・フィンランド向けの製品のようで,下の各銘柄の紹介での写真にあるように,ラベルがスウェーデン・フィンランド両語で書かれています.
[アルコール度数・・・] いずれの銘柄も,「0.5%未満」と表示されています.
|