ノンアルコールビールやノンアルコールワインが普及するにつれ,「期待した味と違う」という不満も出ているということを,販売業者の方から時々聞きます.そのため,ノンアルコール酒をどのような商品と位置付けて売るかが課題になっているようです.
「期待した味と違う」というのは,つまり「本当のお酒のような味がしない」ということです.現在のノンアルコール酒の普及は,酒気帯び運転の取り締まり強化による「車を運転する時でも飲める,酒の代用品」としての普及ですから,このような不満は当然といえます.
以前述べたように,酒のアルコールは味の一部ですから,アルコールの入っていないノンアルコール酒は,アルコール入りの酒と同じ味はしません.ですから,ノンアルコール酒は,ふだん酒を飲む人にとっての酒の代用品にはならないのです.
私は,ノンアルコール酒は,食事のときのための「アルコールがない,甘くない,お茶ではない」飲み物だと考えています.甘い飲み物は食事の味を損ねるし,フランス料理やイタリア料理にウーロン茶では気分がそがれてしまいます.現在のブームが過ぎた後,こんな「ふつうの飲み物」として,ノンアルコール酒が定着してくれることを願っています.
(03. 2. 2)