酔うために飲むのか

飲酒運転の厳罰化により,ノンアルコールビールへの関心が高まった結果,ネット上でもノンアルコールビールの話題をみかけることが多くなりました.

それらのなかで,時々ノンアルコールビールについて「酔わない酒に何の意味があるのか?」という評価を見ることがあります.「酒は酔うために飲むのだから,アルコールの入っていない酒には意味がない」というわけで,極端な意見になると「酒などちっとも旨くない.酔うために飲んでいるのだ」というものも見たことがあります.

私は,そういう人はお酒を飲むべきではないのではないか,と思います.アルコール飲料に含まれるアルコールは,酒の味の一部です.利き酒ではアルコールの味を含めてお酒の味を評価しますが,酔い加減は評価しません.利き酒師や酒造りの職人には,お酒が飲めない人もいるそうです.「酔うために飲む」というほど,お酒を一度にたくさん飲んだり,あるいは簡単に酔ってしまう人は,本当はお酒の味を味わってはいないのではないでしょうか.

このサイトであげている「脱アルコール酒」も,アルコールの味がしないので,やはりお酒とは違うものです.本当の「脱アルコール酒」を作るには,「酔わないアルコール」を作る必要があります.アミノ酸甘味料のような「甘いけれどもエネルギーにならない」物質があるのですから,「アルコールの味がするけれども体に吸収されない」物質も,それほど夢物語ではないような気がします.

(02. 12. 23)