道路交通法改正による飲酒運転厳罰化から,1年がたちました.この間に脱アルコール酒に関する状況は激変しました.脱アルコール酒を扱う店や手に入る脱アルコール酒の種類は何倍にも増え,とくにノンアルコールビールはコンビニでも売っているごく普通の飲み物になりました.
しかし,脱アルコール酒が一般的になった結果,ここに来て脱アルコール酒に逆風が吹いています.「ノンアルコールビールを飲んで車を運転してもいいのか」「未成年者がノンアルコールビールを飲んでもいいのか」という疑問が呈され,「そもそも,1%以下とはいえアルコールを含んでいるのに,ノンアルコールと名乗るのは不当表示ではないのか」という声も出ています.これについては,「「ノンアルコール」という表現について」という記事で説明しています.
上の記事で紹介している各種新聞記事等の報道を見ると,「ノンアルコールと言っても,アルコールは入っている」ということが前提になっています.しかし,「本当に『ノン』アルコール?」という記事にも書いたとおり,脱アルコール酒の中にはアルコール度数が天然果汁と変わらない0.1%以下のものもあります.「ノンアルコール」という表示や,未成年者がノンアルコールビールを飲むことがよくないというのならば,法律や公正取引委員会告示できちんと決めればいいと思います.しかし,そのときにはアルコール度数をきちんと考慮して,0.1%以下の脱アルコール酒までひっくるめて規制することのないように願いたいものです1).
ところで,「アルコール分がゼロではないのだから,『ノンアルコール』ではない」ということであれば,「脱アルコール(dealcoholized)」という名前にすればどうでしょう.「脱カフェイン(decaffeinated)コーヒー」がカフェインを全く含まないわけではないのと同様に,「脱アルコールビール」は「完全にアルコールを除いたわけではないが,かなりの程度アルコールを除いている」という意味を表せるのではないでしょうか.
実は,「脱アルコール酒」という言葉は,Googleで検索してみるとわかるように,私以外には使っている人がほとんどいません.この際,商標登録してから売り込むことにしましょうか(笑)2)
(03. 6. 12)
[2003. 6. 15追記]国産のノンアルコールビールは,0.5%程度のアルコールを含むものはいずれも「ノンアルコール」を名乗らなくなっています.
[2003. 8. 1追記]
1) その後,バービカンも「ノンアルコール」と名乗るのをやめ,「ドライブに」という表現もなくなりました.これについては,「「ノンアルコール」という表現について」をご参照ください.
2) 残念ながら,商標を業として使っていない者は商標を登録することはできないそうです.